TOPページ > Prosopocoilus >

Prosopocoilus dissimilis okinoerabuanus Ichikawa et Fujita,1985
和名:オキノエラブノコギリクワガタ
「沖永良部島」について
奄美群島の南西部に位置する隆起サンゴ礁の島。
和泊町と知名町の2町からなります。
この島には奄美群島や沖縄諸島で恐れられているハブや
その他の陸生の毒蛇は生息していません。
これは南西諸島独自の生物が少ない事を意味しています。
一方、沖永良部のみの特徴をもつ生物が存在しており、
他所にはない特徴が顕われ易い傾向がみられます。
また、生物全般的には、「奄美系」ではなく「沖縄系」の特徴が
顕われ易い傾向が多いようです。

オキノエラブノコギリについて
前述しましたように、生物界では「沖縄系」の生物特性がみれ易く、
クワガタについても同様です。外観的にオキナワノコギリに近い
特徴をしています。
ただし、オキナワノコギリをもう少し明るくしたような色調を
呈しており、言葉で表現すると明るい艶がある橙褐色と表現するのが
相応しいと思います。オキノエラブノコギリをパッと見て明らかに
オキナワノコギリではないことは判別できますが、何がどう違うか
言葉で説明すると複雑になりそうで、省略します。
ブリード品の方が野生品よりも大型になり立派です。
野生採の個体は小型40mm未満が圧倒的でハサミムシ
のような♂もたくさん認められます。
ただし、明らかにオキナワノコギリよりも明るい橙褐色をしています。⇒
この小さい♂を一目見て「これはオキエラだ!」と判る人は目が肥えている。
オキエラだと言われて、「そういえばオキエラだな。」と思う人は修行不足?

ブリードについて
国産ノコギリ同様に特に難しい事も無く、普通のマットに産卵して
幼虫飼育も決して難しくない簡単な部類です。
ブリードでは♂の50mmは最低目指したいところです。
私の自己ベスト・・・ 忘れました。いつの日か、ギネス級70mmを
羽化させてみたいのですが、毎年真剣に飼育しないため
(真剣=大型羽化の努力をして飼育)
精々、60mm+α です。

WD♀からの繁殖例
ある年の8月1日、野生採取品、小型♂と更に超小型の♀2匹が到着しました。
到着して直ぐに産卵セットに投入しました。産卵セットは初心者当時に汎用の
QBOX30に阿古谷オオクワ園のクワガタ飼育・産卵用のマット(たまたま有った。)
を用い、柔らかめの朽木を少々埋め込みました。(QBOX=洗濯ネットで包み保管)
なぜ材を埋めたか?その時の気分です。かつて全く産卵しない♀に途中から
材産めで、ポツリ、ポツリと産卵し始めた経験があり、呪い的に入れました。

8/1
開始
8/48/128/168/309/710/3
1ケースに♀2匹を投入しました。♂は直ぐ(到着後数日)で落ちました。
♀はポツポツと、少しずつ産卵してくれました。
少ないけれど卵は丈夫で腐らなかった記憶があります。
2匹の♀のうち1匹は12月末まで生存していました。
おそらく、表中の卵は、全て1匹の♀だけが産卵したもので
長生きした♀(12月末まで)の産卵でないような気がします。

WD♀から得た幼虫飼育~羽化
最終的に表中の産卵数よりも少し多い15匹の幼虫を得る事ができました。
♀2匹から(1匹は産卵なし?実質♀1匹)ですが、野生採取品なので
良し悪し何ともいえません。坊主でなくてよかったと思いました。
産卵セットからの割出し直後、しばらくの期間は適当な大きさのカップで
初期管理しました。
幼虫は10月上旬に成長が早いものだけを選び1回目のマット交換を施しました。
成長が遅い幼虫は12月頃まで放置しました。15匹の幼虫、個々に成長差があり
一度に全て交換することはありませんでした。成長が早い幼虫=多分♂?のみ
12月頃、更に交換、2回目の交換をしました。
トカラ、アマミ、トクノシマなどのノコギリ幼虫よりも明らかに成長度が異なります。
♀はコクワ幼虫の様な大きさでした。

♀または成長が遅い幼虫は カップ⇒550cc1本で羽化(交換は1回だけ or 無し)
♂は カップ⇒550⇒1100ccで羽化 という感じでした。

トカラ、アマミ、トクノシマノコなどの幼虫は秋頃の交換以外に、翌年の3月頃、
春先に更にもう一度交換作業を施すのですが、オキノエラブ幼虫(特に♀)は
秋の交換だけで充分のように感じました。(♀=コクワの幼虫のような大きさ。)
羽化は8月上旬に始まりました。♀はかなり小ぶり、♂は最大60mm程度でした。
なお、次世代、WF2⇒F3の増殖はWD♀よりも断然多く増えました。

inserted by FC2 system