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    Prosopocoilus inclinatus mishimaiouensis Shimizu et Murayama,1998
    和名:ミシマイオウノコギリクワガタ
    硫黄島(いおうじま)とは
    小笠原諸島の南端近くにも硫黄島があります。
    漢字は同じでも読みが ”いおうとう”です。
    これと混同してはいけません。
    本種が生息している場所は、鹿児島県の島、
    薩南諸島北部に位置する離島、硫黄島(いおうじま)です。
    鹿児島郡三島村の行政区域です。
    三島村の硫黄島に生息しているから『ミシマイオウ』と
    称されているのかな? と勝手に思っています。
    (三島村についてはクロシマノコギリの頁でも述べています)

    ミシマイオウノコギリについて
    クロシマノコギリと同じく、本種が本土ノコギリクワガタ(inclinatus inclinatus)との
    相違を指摘されたのは近年のことで、クロシマよりも少し早い1998年の記載です。
    本種は♂♀共に上翅が黒、前背板と頭部は暗赤色を帯びる2トーンカラーを
    呈する固体が存在します。この特異な色対比は本土ノコギリとの違いが
    最も解りやすい特徴だと思います。小生の飼育血統では、この色対比を呈する
    固体同士(♂♀)を選別して累代を重ねています。その努力の成果でしょうか・・・
    現在、2トーンは極めて安定して羽化しています。♂サイズが小さくても

    ただし、♀に関しては2トーンが出ない固体もいます。また、幾度かの飼育を経て、
    全体的に本土ノコギリに比べて、艶が(かすかに)強い傾向だと感じています。
    ♂大顎の湾曲と内歯パターンには特に顕著な相違ないと思います。
    なお、本種はクロシマノコと同じく、『三島村昆虫保護条例』により
    2005(平成17)年6月28日 以降、採取禁止となっています。

    入手~ペアリング
    ある年の9月5日、新成虫、2ペアを入手。
    累代はF2、 ♂:同年7月割出、♀:同年8月割出。
    購入先は神戸市北区山田町にあるビートルズタウン。(クロシマノコギリと同一店)
    おまけで♂1匹(前脚片方符節欠け・B品)をサービスしてもらいました。
    全部で♂3匹、♀2匹となりました。

    9月中旬頃、動きが鈍かった♂が活発になってきました(汗)。
    仕方なく餌を入れると・・・後食を始め、やがて、おまけの♂も・・・。
    ♀だけ寝たまま起きてくれませんでした。できれば羽化年は活動させず
    越冬させたかったです。羽化後の管理状況は知らないですが、
    こんなに早く活動するとは思っていませんでした。
    活動させた♂を無駄にしないためには仕方なく♀を目覚めさせて
    ペアリングさせなければいけない状況になりました。
    そう考えていると、なぜか、おまけの♂(符節欠けB品)が急死しました。

    10/21、幸いにも♀が動きが出しました。『やっと目覚めてくれた』
    と言いたいですが、同年に仕入れたクチノエラブは早期活動の後、突然死、
    B品の♂も突然死だったので、とても不安でした。
    まずは、予定外に活動した♂と意図的に目覚めさせた♀をペアリングさせました。

    産卵
    計3日間、ペアで飼育しました。2日目の夜に交尾している現場を確認できました。
    交尾後は♀だけ取り出し産卵セットに移し、産卵セットはコバエシャッターミニに
    持ち合わせの発行マットを詰めた簡単なものを用意しました。
    数日後に容器底面から卵が2つ見えました。

    採卵日10/2911/511/1011/2312/161月中旬
    採卵数10(幼1)♀★合計27個

    その後、定期的に産卵セットを調べて、積極的に卵を回収しました。
    上はその結果です。1月中旬に♀が他界するまで、卵26個と幼虫1匹を取出し、
    ここから最終的に22匹の幼虫を得ました。 ※♂は12月末に他界しました。

    ブリードについて(幼虫飼育~羽化)
    卵で割り出したため、孵化を確認して直ちに120ccカップへ移しました。
    約2ヶ月間120ccで飼育した後、1100ccへサイズアップしました。
    とても中途半端な時期に孵化した幼虫だったので、最初の交換が年末、
    真冬になりました。いつもとは異なる飼育スケジュールになりました。
    私が飼育する離島ノコ幼虫は全て四季の温度変化を体感させています。
    通常なら、マット交換は夏~秋に1回目、春前に2回目を実施しています。
    今回のミシマイオウは例外として、真冬でも20℃前後の温域で飼育しました。
    2回目のマット交換は4月下旬に行いました。

    6月初旬、何気なく飼育ボトルと見てみると、性別に関係なく蛹化していました。
    もちろん幼虫の状態もいましたが、やがて蛹化するだろうと確信していました。
    そして8~9月に羽化のピークを迎えました。♂は最大で66mmでした。
    大きさは不揃いで小さい♂は40mmにも満たない大きさでした。
    ♀は32~38mmの範囲でした。気になる色調は・・・・?
    上翅黒、頭部~前背板は赤茶のような固体(2トーンの対比)を期待して
    いましたが、2トーンもいれば本土ノコと変わらない色調の固体もいました。

    2トーン色 固定
    最初に羽化したものから2トーンのメリハリがある♂と♀同士を選び
    何代かの飼育を繰返し現在では羽化の9割以上が2トーン羽化の血筋
    に到っています。

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